読了

 
 「俳人漱石」 坪内稔典 岩波新書
 漱石の俳句について、著者と漱石と子規という三人で鼎談しながら見ていく、というスタイルの本。子規の「いやあ、また君に会えるとは! 百年ぶりだねえ」という科白から話が始まる。すごいだろう。なんと言うか、堂々としてるだろう。
 内容は俳句を中心に見つつ、かなり漱石と子規の交歓とか人生とかが綴られているのだけど、その部分がとてもおもしろかった。やはり漱石は魅力的だし、それに僕はなんだかんだでこの時代が丸ごと好きであると思う。漱石と子規の親交はもちろん、ほかに虚子がいて、逍遥がいて、龍之介が出てきて、そしてなにより白樺派なんかも出てくるのである。すごいじゃないか。いつか知識を身につけて、この時代を小説に書くのが僕の夢だ。