学年題俳句1000詠講評 002 小論文 高校3年生

 
 まず紹介したいのがこの一首だ。
 

小論文核の平和と陰核と
   (TEEN×TEEN×SEVENTEEN purope★papiroさん)

 
 核兵器と女の子の核を掛けている。「核の平和」とは、敵国同士がお互いに核兵器を持つことにより成立する危うい平和のことか。なるほど言われてみれば陰核と亀頭もまたそのような存在かもしれないと思わせる。男と女の二元論。深い。
 

小論文核の放棄とクリトリス
    (TEEN×TEEN×SEVENTEEN purope★papiroさん)

 
 おそらくよっぽど気に入ったのだろう。表現を変えてふたたび核兵器とその核を掛けている。今度は放棄している。核を放棄することによりはじめて女性の核は陰の存在ではなくなり、クリトリスという名の千年世界がやってくるという意味か。なんだこれは。予言か。
 

小論文わたしの核も問題だ
   (ホガラカノイロオゼ まひろさん)

 
 そしてなんとまひろさんまでもが掛けはじめる。高校1年生の少女が唱えるこの「わたしの核」の無邪気さはどうだ。無邪気であるからこそ怖い。人ほどおそろしい生きものは他にないのだということを再認識させられる。あとは鬼くらいのものだ。
 

小論文エイズについての見解ぞ
小論文ゴム着用を唱えけり
    (TEEN×TEEN×SEVENTEEN purope★papiroさん)

 
 核とともにエイズもまた頻繁に小論文で取り上げられるテーマである。陰核のあとは膣ということか。あるいはアヌスかもしれない。小論文の句はどうしてこんなにも下半身の話ばかりなのか。
 

エイズとか書くのハズいよ小論文
    (ホガラカノイロオゼ まひろさん)

 
 しかしいくら課題とは言え、少女がエイズについて考えている風景にはどうしても劣情が芽生えると思う。エイズの感染経路について思いを馳せながらシャーペンを走らせる少女。それが大好きなあの子で、顔をほのかに赤らめていたりしたら、それだけでご飯4合は炊けてしまうと思う。
 

タカハシの小論文とか読ませてよ
   (ホガラカノイロオゼ まひろさん)

 
 なので当然こういうことにもなろう。自分自身、一抹の恥ずかしさを感じつつクリトリス観やエッチ観を赤裸々に語っている小論文である。気になる異性の答案原稿に興味が湧くのは自然の摂理であると言える。なんの気なしな素振りとしての「とか」が見事に効いている。女の子もエロいんだ。と言うか女の子よりエロい生きものなんて他にいない。あとは男の子ぐらいのものだ。見させてもらったタカハシの答案に「コンドーム」って書かれてるの見て、ほっとしたり複雑な気持ちになったり。
 

をとめごの小論文への自信かな
   (TEEN×TEEN×SEVENTEEN purope★papiroさん)

 
 しかし投稿されたものの中で私がもっとも好きな句はどれかと問われればこれである。陰核の問題やセックスの問題など小論文のテーマは数々あれど、もうなんでもござれ、学校でも予備校でもなんども模擬試験をやって、さんざん書いてきたんだもの、考え方にしても論の運びにしてもぜんぜん心配なし、さあどこからでもかかってらっしゃい、っていう感じの子を、原稿用紙なんかじゃなく実地で打ちひしがらせたいということ。ほんとは1200文字以内になんか収まらないんだよ、ということを教えたい、ということ。