学年題俳句

 
 鏡にて陰唇ひろがりガーネット  (陰唇・高1)
 もう眠るパパが屈んでキスしなよ  (キス・高1)
 パパ不潔この世の終わりパパ不潔  (パパ不潔・高1)
 
 今日は高校1年生で3句作ってみた。
 高1、それは性の目覚めである。そしてそれはすなわち少女時代というものの瓦解の始まりを意味する。これから上の年代は失われていく少女時代の滅びの美学だ。つまり純粋なる少女美を詠おうとしたら、ここが最高潮なのだとも考えられる。女としてじゃない、少女としての熟れ頃はここなのかもしれない。実際もう高2ではちょっと少女時代が危うくなっていると思う。高3はほとんど女だ。このことは「高1は行く、高2は逃げる、高3は去る」と覚えるとよい。
 上の3句は、ひとりの女の子のストーリーになっている。
 1句目、少女は好奇心から夜中、自室でひっそりと手鏡にて、パジャマとショーツを下ろし、自分の性器をうつして見るということをしてしまうわけである。するとそこに広がっていたのは驚愕の光景。ガーネットは色の名前で、深みのある赤茶色を指す。すなわち濃いピンク色であり、同時に鮮やかなセピア色なわけである。ああ少女時代の瓦解。
 そして2句目、この少女の家庭では毎晩、眠る前のあいさつとして、パパが少女のおでこにキスをしてくれるのである。子どもの頃からそういうことになっている。それが昨晩までは少女が自分から背伸びをしていたのに、今夜からはパパが屈まなければいけないことになってしまった、ということだ。でも背伸びはしないものの、拒むという発想はないわけである。瓦解は着実に進みつつも、まだ少女としての無邪気さも備えていると言えよう。ギリギリのアンバランスさ。もしかするとツンデレにも通じるかもしれない。「ツンデレの正体見たり二次性徴」(川柳)。
 3句目、こうなるともう理屈ではない。自分の性器とパパの性器、男と女。パパからのキスなんてもう受け入れられるはずがない。キスどころじゃない。どうして家にあんな汚い生きものがいるの、とさえ思う。あああ少女時代の瓦解。でも最高潮。滅びの美学。イエーイ!