読了本
「EDS 緊急推理解決院」 新世紀「謎」倶楽部 光文社
9人のミステリ作家(石持浅海・加賀美雅之・黒田研二・小森健太朗・高田崇史・柄刀一・鳥飼否宇・二階堂黎人・松尾由美)による合作長編小説。
ものすごくおもしろかった。なにしろ僕はこの本の対象としてドンピシャだ。
古典ミステリでもない、近ごろのライトノベルミステリ(キャラ小説)でもない、新本格ミステリなのだ。ここらへんの作者らの大体の本は読んでいる僕である。なのでおもしろくて仕方ない。
また僕は常に複数の本を、あれやこれやとつまんで読み進めるのだけど、この本はこれのみを普通に読み進めながらそんな感じで進行していくので、そういう意味でも僕にぴったりだと思った。
それにこれはアンソロジーというものにおいて、とてもいい方式なんじゃないかとも感じた。一般的なアンソロジーがそうであるように、複数人の作ったものが、たとえある一定のテーマに沿ったものにせよただ並んでいるだけでは、別に大しておもしろくないと思うのだ。そのことは前々から感じていた。
みんなで1冊の本を出すのなら、この本みたくそれぞれの作者が書く探偵が、みんなひとつのビルの中にいるといったようなことがあったほうがいいと思う。それで生じる作品間のリンクとか、僕は純粋におもしろくて好きだ(ただしこの本に関しては実を言うとそれほどリンクが激しいというわけではない)。
それにしてもこの設定、それに「EDS」という略称って、やっぱりJDCが意識されてるんだろうな。二階堂黎人(新本格代表)が清涼院流水(キャラミステリ代表)を嘲笑ってるみたいで、それもおもしろいと思った。スカッと。