「どどいつ万葉集」より

 
 泣いた拍子に覚めたが惜しい 夢と知ったら泣かぬのに
 惚れられようとは過ぎたる思い きらわれまいとのこの苦労
 逢えばさほどの話もないが 逢わなきゃ言いたいことばかり
 遠くはなれて逢いたいときは 月が鏡になればよい
 色のいの字と命のいの字 そこでいろごといのちがけ
 咲くが花かよ咲かぬが花か 咲かぬつぼみのうちが花
 恋し恋しと書いては丸め ほかに書く字のない悩み
 枕出せとはつれない言葉 そばにある膝知りながら
 切れはせぬかと鼻緒をしらべ そっと揃えるぬしの下駄
 わけをきくのも聞かぬも男 散るが花なら咲くも花
 
 都々逸とは落語の箱庭バージョンなのではないかと察した。