乱歩賞

 
 エロゲーにおいて「なぜ主人公はセックスできるか」という主題があり、その回答として、「学園の理事長(あるいはその息子)であるから」とか、「魔王の生まれ変わりで、放っておくと女の子を襲ってしまうため、女神が性欲の処理を買って出てくれるから」だとか、いろいろな理由付けがなされるわけだが、こんなのはどうだろう。
 主人公は金に困った男で、金持ちの家の女の子を誘拐するのだが、実はその女の子は稀代の天才発明家である博士の作った、精液をエネルギー源とするセクサロイドであり、発明家は大事な試作機であるから金は出すと言うのだけど、警察が来たりなんなりの諸般の理由により受け渡し交渉は思うように進まず、そのままではセクサロイドが活動を停止してしまうため、博士は苦肉の策として誘拐犯に、彼によるセクサロイドへの精液の供給を依頼する――。
 このストーリーの長所は、エロの要素と、誘拐というミステリの要素が無理なくミックスされる点にある。