乳首をめぐる冒険 1

 
 女の子らがみんなで話し合い、「裸になろうよ」という結論に達する、という夢を見た。ある少女の「って言うか私たち、裸のほうがかわいくない?」という意見の末にそういうことになっていた。
 結局その夢は、女の子たちがそれぞれ衣服を脱ぎはじめたところで覚めてしまったわけだが(だからこの話題は18禁には触れない)、しかし甘美な夢であった。
 「裸のほうがかわいい」という結論はとてもいいと思う。もしかするとこの意見は、ファッション業界に一石を投じるのではないかとさえ思った。と言うか現代の最新ファッション流行をなによりも気にする少女たちへ向け、「裸ブーム」のようなものを創造すれば、わざわざこちらが頭の中で剥いたりとかしなくても、少女たちはこの夢のように自ら衣服を脱ぎはじめるのではないだろうか。
 もっとも「ファッション業界に一石」と言いつつ、それ以前にファッション業界はすでにこの事実に気付いている様子があるとも思う。業界によって捏造されるファッションの流行、それは最終的に少女たちを裸にするための気の長い作戦なのではないか。たまに厚着が流行ったりするのは、揺り返しの威力を強めるためだ。彼らは基本的にはいつだってミニスカートやキャミソールを突き詰めていたいはずなのだ。マスコミだってアメリカ文化とかを紹介することによりそれに加担しているし、あるいは電機メーカーや自動車会社とかも地球の温暖化を推進することによって少女たちの服を減らすことに成功している(ただしオゾンホールが開いてしまって、紫外線により少女らが素肌を曝すことに抵抗感を覚えることになったのは、想定外のミスであった)。
 うん、まあそんな風にも思ったわけである。
 だけど経済や科学の発展も、要するに生命を維持するための活動なわけで、またそれらの行動を果敢に取った人間に社会的地位が与えられ、遺伝子を遺せる可能性が高まるのだとすれば、「みんなが女の子を裸にさせようと企んでがんばっている」という文言も決して間違いではないと思う。