プロッペッパッピローニ14世(王族の末裔)

 
 せやからほら、分かるやろ。次に起こすべき行動が。自然と頭に去来するやろ。命じられんでも動ける人間やろ、お嬢ちゃん。学校では部活とか委員会とかやっとるんかい。ん、部活? 野球部のマネージャー? ほうっ、お嬢ちゃん野球部のマネージャーかいな。すばらしいなあ。上玉やな。おっさんこう見えても昔はずいぶん野球やっとったんやで。投げてよし打ってよし印象よしの万能選手やったんやで。心斎橋のゴジラの異名を取っとったんやで。まあおっさん松井よりも年長者やけどな。そういう意味では松井が亜流いうことになるな。まあ最近しばらくやっとらんけど、もちろんまだ情熱は失ってへんで。ほら見てみい、まだ栄光を肌身離さず持ち歩いとるんがその証拠や。えっと、この右側のが完全試合をやったときのボールやろ、そんでこの左側のが200勝を達成した試合のボールや。そんでその中央にあるんが、2000本安打を決めたときのバッドやな。ホンマおっさん名球会やで。ん、あれ? あらら、バッドに汚れがついとるやないか。おぉいジャーマネー、備品ちゃんと管理しとけよーっちゅう話やでこれは。キャプテン大目玉や。ありえへんわ。グラウンドうさぎ跳びや。ほな急ぐんやジャーマネさん。キャプテンには黙っといたるわ。キャプテンに見つからんうちに綺麗にするんや。時間ないで。キャプテン来てまう。おじょうちゃんあれやろ、ジャーマネである以前に女の子なら、ハンカチの1枚や2枚は常時持ち歩いとるんやろ。ハンケチーフ親善大使なんやろ。それ出しい。えっ、ないんかいな。おじょうちゃん反ハンケチーフ軍かいな。ほならおっさんが今まさに鼻血とか出したら、お嬢ちゃんどないすんねんな。お嬢ちゃんナイチンゲールはいかにしておっさんを止血させんねん。虞や虞やおっさんの鼻血いかんせん。おっさんはお嬢ちゃんに貸してもらったなにをクリーニングして、さらにお礼の気持ちを込めてさりげなく小物でも一緒に返したらええねん。ちょい待ち、言っとくけどティッシュなんて言うたらあかんで。使い捨てされるほどおっさんの血は安くないで。ほら、どないすんねん。しかしなあ、他の服の素材は固いしな。綿やレースのハンケチーフ並に柔らかい素材言うたら……せやな。ひとつしかあらへんわな。探し物はいつだって自分の一番近くにあるんやな。そうや。ちょい失礼するで。……おっ、お嬢ちゃん脚にずいぶん汗かいとるなあ。暑いんか? ほならますます脱いだほうがええわ。スルスルスルーッと。そう。これや。綿100%のな……。(つづく)