面接

 
 卒論の審査面接だった。
 しかし僕のゼミ教授の専門は英語を基本にした言語学であり、副査の教授の専門はヨーロッパ文化とかなのだった。彼等に「逆にくだらないジョークとしての漢詩」の審査をしてもらったのだった。なんだそりゃ。「平仄とかぜんぜん知らなかったから勉強になったよ」とか言われた。それってどうなんだ。
 それと副査の教授が
「この題名の『逆に』っていう言葉の意味がちょっと分からないんだけれどね……」
 と言うと、同じ質問を授業においてすでに僕にしていたゼミ教授が受けて、
「それは「○☆×△*@」ということなんですよ」
 とよく分からない英単語らしきもので説明し、すると副査の教授が
「ああ、なるほど」
 とすんなり納得した、という一幕がとてもおもしろかった。完全にいろいろ間違っている。ダニエル・カールがブラジル料理に舌鼓を打つくらいの間違いだ。
 しかし面接の終わりに副査がポツリと漏らした一言、
「まあしかし僕等では分からないけど、漢詩の専門家に見せたらいろいろ間違ってるのかもね」
 という言葉はきわめて真実を突いていると思われるので、三人で一緒に
「「「ワッハハ」」」
 と笑って済ませた。大人になるってこういうことかもしれない。
 そんなわけで無事に卒業します。